先月号のニューロンとウイルスに関するMonthly Must-Readsはお楽しみいただけたでしょうか。これまで1月よりAxons(軸索)Retina(網膜)Organoids(オルガノイド) と科学的なテーマを取り上げてまいりました。

今月は、上記4編の仕上げともいうべきトピックを取り上げたいと思います。 COVID-19の蔓延下、在宅勤務のかなりの時間をデータ分析に時間を費やされている方も多いのではないでしょうか。そこで、今月はSpikesorting(スパイクソーティング)をテーマとし、さらにテーマを掘り下げる5本の記事をご紹介します! 今月の5本の論文は、数多ある出版物のほんの一部にすぎませんが、このような特殊な時期に読むのに良い論文です。

次に特集論文と他の4つのためになる記事を掲載しています。今月は、Buccinoらによるスパイク・インターフェースに関する論文を特集することにしました!

SpikeInterface, a unified framework for spike sorting.
(スパイクインターフェイス、スパイクソーティングのための統合フレームワーク)

Alessio P. Buccino, Cole L. Hurwitz, Jeremy Magland, Samuel Garcia, Joshua H. Siegle, Roger Hurwitz, Matthias H. Hennig. bioRxiv. 2019年10月.

高密度微小電極アレイとマルチチャネルシリコンプローブの開発により、科学者は数千のニューロンの細胞外活動を同時に記録できるようになりました。これらの信号を単一細胞の解像度で分析するには、発生した生の電圧トレースを分離し、それらの形状の類似性に基づいてクラスター化する必要があります。最近、高密度デバイスによって生成された大きなデータセットをスパイクソートするために、いくつかの自動化された教師なしアルゴリズムが開発されました。これらのほとんどには異なるファイル形式とハードウェア要件があるため、相互運用性が低下し、結果のクロス比較が困難になります。今月特集した査読前論文では、Buccinoと同僚たちが、既存の自動ソーティングアルゴリズムを1つのコードベースに統合するフレームワークであるスパイクインターフェースを取り上げています。著者らは、大きなデータセットのスパイクソーティングのアクセシビリティ、信頼性、再現性をどのように改善できるかを示しています。

論文はこちらから。

上記の論文の他に、スパイクソーティングのテーマと関連性の高い他の4つの論文を以下に紹介します。

  1. A spike sorting toolbox for up to thousands of electrodes validated with ground truth recordings in vitro and in vivo.
    (生体外および生体内におけるグラウンドトゥルースレコーディングで検証された数千もの電極のためのスパイクソーティングツールボックス)

    Pierre Yger, Giulia LB Spampinato, Elric Esposito, Baptiste Lefebvre, Stephane Deny, Christophe Gardella, Marcel Stimberg, Florian Jetter, Guenther Zeck, Serge Picaud, Jens Duebel ,Olivier Marre. eLife. 2018年3月.
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  2. Automatic spike sorting for high-density microelectrode arrays.
    (高密度微小電極アレイのための自動スパイクソーティング)

    Roland Diggelmann, Michele Fiscella, Andreas Hierleman, Felix Franke. The Mouse Visual System. 2018年12月.
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  3. Unsupervised Spike Sorting for Large-Scale, High-Density Multielectrode Arrays.
    (大規模で高密度微小電極アレイのための教師なしスパイクソーティング)

    Gerrit Hilgen, Martino Sorbaro, Sahar Pirmoradian, Jens-Oliver Muthmann, Ibolya Edit Kepiro, Simona Ullo, Cesar Juarez Ramirez, Albert Puente Encinas, Alessandro Maccione, Luca Berdondini, Vittorio Murino, Diego Sona, Francesca Cella Zanacchi, Evelyne Sernagor, Matthias Helge Hennig. Cell Reports. 2017年3月.
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  4. Kilosort: realtime spike-sorting for extracellular electrophysiology with hundreds of channels.
    (Kilosort:数百のチャネルを伴った細胞外電気生理学のためのリアルタイムのスパイクソーティング)

    Marius Pachitariu, Nicholas Steinmetz, Shabnam Kadir, Matteo Carandini, Kenneth D. Harris. bioRxiv. 2016年6月.
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