2020年も下半期に入り、MaxWell Monthly Must-Readsも第7号をお届けすることができます。初めの4号は科学的なトピックを主に選び、1月はAxons(軸索)、2月はRetina(網膜)、3月はOrganoids(オルガノイド) に焦点をあてました。COVID-19禍の4月と5月はNeurons and Viruses と Spike Sorting(スパイクソーティング) 、 ISSCR 2020 期間中の先月は Human iPSC-Derived Neurons(ヒトiPS細胞由来神経細胞)を特集してきました。

今月のテーマは Burst Detection(バースト検出)です! バースト現象は、神経細胞のスパイク率の周期的な増加です。バーストは単一細胞レベルまたはシナプス接続された神経細胞間のネットワークレベルで検出が可能です。生体外での神経細胞培養は、しばしば同期バーストのネットワークに成熟化し、バーストは生体内と生体外の両方で、情報の処理及び保存に関連性の高い現象と考えられています。神経細胞のバーストを自動的に検出し特徴付けるためには、いくつかのバースト検出方法が開発されてきました。今号では2018年に掲載された松田直毅らによる同期バーストの検出の4-step methodに関する論文を取り上げることにしました。

Detection of synchronized burst firing in cultured human induced pluripotent stem cell-derived neurons using a 4-step method
(培養されたヒト多能性幹細胞由来神経細胞の同期バースト発火の4-step methodを用いた検出)

松田直毅, 小田原あおい, H.Katoh, N.Okuyama, 横井れみ, 鈴木郁郎. Biochemical and Biophysical Research Communications. 2018年3月.

バースト検出の 4-step methodでは、人間の神経回路網での同期バースト発火(SBF)イベントと分離するために、微小電極アレイ (MEA) を用いたデータを使用しています。著者はSBF現象率の抽出、SBF現象期間、そしてSBF現象中のスパイク数に焦点を当てています。これらはすべて、神経細胞培養の機能の表現型を特徴付け、薬物の効果を評価するために関連するメトリクスです。開発された方法の主な利点は、(1)連続するSBF現象の分離性の向上、(2)弱いSBF現象の検出の向上、(3)間違ったSBV現象の検出の削減です。

論文はこちらから。

バースト検出に関連した4本の論文を下記にご紹介します:

  1. Burst Detection Methods.
    (バースト検出方法)

    Ellese Cotterill, Stephen Egle. In Vitro Neuronal Networks. 2019年5月.
    論文はこちらから。
  2. Emergence of Bursting Activity in Connected Neuronal Sub-Populations.
    (結合された神経細胞の亜集団におけるバースト活動の出現)

    Marta Bisio, Alessandro Bosca, Valentina Pasquale, Luca Berdondini, Michela Chiappalone. PLOS One. 2014年9月.
    論文はこちらから。
  3. A comparison of computational methods for detecting bursts in neuronal spike trains and their application to human stem cell-derived neuronal networks.
    (神経細胞スパイクトレインのバーストを検出するための計算方法の比較と、ヒト幹細胞由来の神経回路網への応用)

    Ellese Cotterill, Paul Charlesworth, Christopher Thomas, Ole Paulsen, Stephen Eglen. Journal of Neurophysiology. 2016年8月.
    論文はこちらから。
  4. Parameters for burst detection.
    (バースト検出のためのパラメータ)

    Douglas Bakkum, Milos Radivojevic, Urs Frey, Felix Franke, Andreas Hierlemann, Hirokazu Takahashi. Frontiers in Computational Neuroscience. 2014年1月.
    論文はこちらから。