MaxWell Monthly Must-Reads にようこそ。前号でお伝えした通り、今年も12の新たなテーマで毎月 must-read 論文をご紹介していきます。それぞれの月ではテーマ毎にオススメ論文を5本ご紹介していきます。先月号は  Functional Connectivity in Neuronal Networks(神経回路網の機能的結合性)を特集しました。2月号はSimulation of extracellular neuronal spiking activity(細胞外神経細胞のスパイク活動のシミュレーション)をテーマに選びました。

高密度微小電極アレイ (HD-MEA) 装置は1㎟あたり数百から数千の電極を備えています。 単一神経細胞の細胞外活動電位は複数の電極で検出されるということになります。それゆえ、付近の神経細胞の電気的活動は重なり合い、隣接する電極上で記録されます。スパイクソーティング技術は神経細胞の活動電位の分離と分類を可能にします。しかし、神経細胞の電気的活動のスパイクソーティングが生体外および生体内で取得されたHD-MEAデータで実行される場合、グランドトゥルース(ground-truth)データがないため、スパイクソーティングアルゴリズムの質を評価することに問題があります。

MEArec: A Fast and Customizable Testbench Simulator for Ground-truth Extracellular Spiking Activity.
(MEArec: グラウンドトゥルース細胞外スパイク活動のための高速でカスタマイズ可能なテストベンチシミュレーター)

Alessio P. Buccino, Gaute T. Einevoll. Neuroinformatics. 2020年7月.

Buccino A.P.と Einevoll G.T. はグラウンドトゥルース細胞外神経細胞のスパイク活動のためのカスタマイズ可能なテストベンチシミュレーターであるMEArecを開発しました。これは、ユーザーがスパイクソーティングアルゴリズムを確実にテストすることを可能にします。 MEArecは細胞外微小電極アレイ記録の迅速なシミュレーションを可能にする、Pythonベースのソフトウェアです。細胞外活動電位は、the Neocortical Microcircuit Portal(新皮質微小回路ポータル)より13層からなる5つの皮質細胞モデルを特徴とする、生物物理学的に現実的な細胞モデルを使って生成されます。細胞外活動電位のシミュレーション後、スパイク列を含むMEA記録を目的の電極ピッチで生成できます。BuccinoA.P.とEinevollG.T.によって開発されたソフトウェアは、スパイクソートアルゴリズムの改善と検証をサポートし、最先端のスパイクソート法の限界を理解するのに役立つことを目的としています。

論文は こちら

Buccinoらの論文を巻頭特集に選びましたが、今月のテーマ(細胞外神経細胞のスパイク活動のシミュレーション)を掘り下げる4本の論文を紹介します:

  1. Fast simulation of extracellular action potential signatures based on a morphological filtering approximation.
    (形態学的フィルタリング近似に基づく細胞外活動電位の特性の高速シミュレーション)

    Harry Tran, Radu Ranta Steven L. Cam, Valerie Louis-Dorr. Journal of Computational Neuroscience. 2020年1月.
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  2. Systematic generation of biophysically detailed models for diverse cortical neuron types.
    (多様な皮質神経細胞型のための生物物理学的に詳細なモデルの系統的な生成)

    Nathan W. Gouwens, Jim Berg, David Feng, Staci A. Sorensen, Hongkui Zeng, Michael J. Hawrylycz, Christof Koch, Anton Arkhipov. Nature Communications. 2018年2月.
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  3. SpikeInterface, a unified framework for spike sorting.
    (スパイクのインターフェース、スパイクソーティングのための統合されたフレームワーク)

    Alessio P. Buccino, Cole L. Hurwitz, Samuel Garcia, Jeremy Magland, Joshua H. Siegle, Roger Hurwitz, Matthias H. Hennig. eLife. 2020年11月.
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  4. A Detailed and Fast Model of Extracellular Recordings.
    (細胞外記録の詳細かつ高速なモデル)

    Luis A. Camunas-Mesa, Rodrigo Q. Quiroga. Neural Computation. 2013年5月.
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今月号もお楽しみいただけたでしょうか。特集希望のテーマがありましたら、ぜひお知らせください。

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