新年というこでMaxWellのMonthly Must-Readsの新版をお届けしたいと思います。今年は12の興味深いテーマで、毎月画期的な論文を1報特集して皆さんにお届けいたします。さらにその月のテーマに関連する4本の論文をMust-Readsに掲載します。

2020年の幕開けはAxons(軸索)に関連する5本の論文からです。

The Axon Initial Segment is the Dominant Contributor to the Neuron’s Extracellular Electrical Potential Landscape                                                            
(
軸索起始部はニューロンの細胞外電位の主要な要因)
by Douglas J. Bakkum*, Marie Engelene J. Obien*, Milos Radivojevic, David Jackel, Urs Frey, Hirokazu Takahashi and Andreas R. Hierlemann**. Advanced Biosystems. 2018年11月.

細胞外で記録された活動電位(以下EAP)の波形を測定するとき、あなたは何を見ているのでしょうか?脱分極細胞体からの電流ですか?軸索を伝播する活動電位ですか?それは樹状突起分枝に逆行的に流れる電流の合計であり得るのでしょうか?「Advanced Byosystems」2019年2月号で掲載されたこの重要な論文では、Bakkumと研究者たちは、高密度微小電極アレイ(HD-MEA)技術で、(1)皮質細胞培養と(2)急性脳スライスの小脳プルキンエ細胞の2つの標本を用いて 、形、極性、細胞外電圧と電流の振幅を単一細胞の様々なサブコンパートメントに沿って精査しています。EAPへの主な要因は細胞体から生じるという標準的な仮定に対して、著者及び研究者らは軸索起始部(以下AIS)が最も強い負の極性信号を生み出し、それによってEAPのランドスケープを支配することを発見しました。信号はAISの遠位部分で始まり、細胞体に広がり、それに呼応して樹状突起領域で検知可能なリターン電流が正の波形として表示されます。HD-MEA記録によって前例のない詳細なレベルで明らかになったニューロンの電気的な「フットプリント」により、EAPの起源を正確に特定できたことをこの研究は示しています。このことはこれまでの古典的な電気生理学的器具によって得られた結果に対し、完全に異なる解釈を可能とするかもしれないのです。

論文はこちらから。

上記で紹介した論文の他に、今回のトピック「軸索」に関連した4本の論文をご紹介します。

  1. Large-Scale Mapping of Axonal Arbors Using High-Density Microelectrode Arrays
    (
    高密度MEAを用いた軸索側枝のラージスケールマッピング)
    by Torsten Bullmann, Milos Radivojevic, Stefan T. Huber, Kosmas Deligkaris, Andreas Hierlemann and Urs Frey. Frontiers in Cellular Neuroscience. 2019年9月。 論文はこちらから。
  2. Technologies to Study Action Potential Propagation With a Focus on HD-MEA’s
    (
    高密度MEAに焦点をおいた活動電位伝播研究のためのテクノロジー)
    by Vishalini Emmenegger, Marie Engelene J. Obien, Felix Franke and Andreas Hierlemann. Frontiers in Cellular Neuroscience. 2019年4月。 論文はこちらから。
  3. Required growth facilitators propel axon regeneration across complete spinal cord injury
    (
    必要な成長促進は完全な脊髄損傷にわたって軸索再生を推進する)      

    by Mark A. Anderson, Timothy M. O’Shea, Joshua E. Burda, Yan Ao, Sabry L. Barlatey, Alexander M. Bernstein, Jae H. Kim, Nicholas D. James, Alexandra Rogers, Brian Kato, Alexander L. Wollenberg, Riki Kawaguchi, Giovanni Coppolo, Chen Wang, Timothy J. Deming, Zhigang He, Gregoire Courtine and Michael V. Sofroniew. Nature. 2018年8月。 論文はこちらから。詳細はこちらから。
  4. Axon-Seq Decodes the Motor Axon Transcriptome and Its Modulation in Response to ALS
    (Axon-Seqによる運動軸索トランスクリプトームとALSに対する変調の解読)          
    by Jik Nijssen, Julio Aguila, Rein Hoogstraaten, Nigel Kee and Eva Hedlund. CellPress. 2018年12月。 論文はこちらから。詳細はこちらから。