微小電極アレイ(MEA)

微小電極アレイ(MEA)

神経細胞の活動を電気的に記録することは単一ニューロンと神経細胞ネットワークを解析するうえで好ましい方法とされてきました(Contreas, 2004; Linas, 1988)。神経細胞によって生成された電気信号は発生源から離れて追跡することが可能です。空間的スケールによって最適な記録用ツールは異なりますが、局所神経細胞集団が分析される中規模スケールでは、メタル電極を用いた細胞外記録が一般的です。この場合、電極は生体外脳スライス内に、または直接脳内に埋め込まれ、周囲の細胞によって生成される電気信号を追跡します。個々の神経細胞のスパイク活動から(細胞外活動電位またはEAP;帯域幅:300~3000Hz)小さな集団のより遅いネットワーク振動まで(局所電場電位またはLFP;帯域幅:1-300Hz)、広範囲の脳神経系の現象を観察することができます。さらに同じ電極で脳内の局所に電気刺激を送り出すことが可能です。この方法を脳神経活動の記録や刺激に用いることは比較的容易いですが、記録されたデータを分析することは簡単ではありません。電極の周りの何百という可能性のある信号源の前には、そのような技術の特異性や選択性は不十分です。そのため、細胞外記録は集団活動の分析において広く用いられてきました。

EAP_LFP

細胞外と細胞内記録  左: 皮質層を覆う細胞の図。(Buzsáki et al., 2012)の許可を得て修正。右:  同時に行われた細胞外記録と細胞内全細胞パッチクランプ記録のシグナル(Henze et al., 2000)の許可を得て修正。

神経細胞ネットワークの活動を高解像度でマップするために、アレイ上に密集して配置された複数の電子センサーを利用することが可能です。微小電極アレイ(MEA, 多電極アレイとも名付けられています)はミリ秒未満の時間領域で神経細胞集団からLFP(局所フィールド電位)およびEAP(細胞外活動電位)を同時に長期間で記録することができます。空間分解能を高めるために、つまり1平方mm当たり数千個の電極を配置するために、電極と読み出し回路をつなぐ配線によって占める面積を減らさなければなりません。この高密度MEA(HDMEAs)は、産業用相補的金属酸化膜半導体あるいはCMOS技術を使用することで可能になりました。さらなる利点として、増幅回路およびアナログ対デジタル変換器のような読み出し回路を電極と同じ基板に配置することが可能になり、信号特性を向上できました。オンチップ・シグナル・コンディショニング(信号調整)回路の設計は高品質信号を確実にするために電極インピーダンスと可能なノイズ源を考慮するべきです。良好な信号ノイズ比(SNR)を伴う高密度MEAは、細胞内解像度で単一神経細胞活動をマッピングし、同時にネットワーク活動を観察するために使用することができます(Ballini 他, 2014; Frey 他, 2010)。

MEA Contact Interface

MEA 神経細胞-電極 (fluid side). 神経細胞-電極間の距離および神経細胞配向は電極で検出される信号振幅と形状に影響を及ぼします。高い空間解像度は、ペリソマティック領域で大きな負のスパイクやデンドライト領域で正のスパイク(いわゆるリターン電流)を伴う単一神経細胞の複数の位置での細胞外活動電位を記録することが可能です。


スイッチマトリックス

スイッチマトリックス(SM)の概念は、各電極から電極アレイの外側に配置した読み出し回路への信号送信において、トランンジスタを用いたスイッチ機能のことです。SM概念において、ルーティングは静的なモードで行われます。つまり一部の電極はスイッチの開閉によって選択され、そしてその後電極の選択を変更せずに記録は始められます。通常MEA実験中、全ての電極が活動を検出するわけではありません。つまり複数の「興味のある」電極のみを選ぶことが可能です。一般的なプロトコルとして、先ずは全ての電極をスキャンし、後続の実験でどの電極を使用するかを決めます。この概念の利点は大きな低ノイズ増幅器を実際の電極アレイの外側に実装可能にすることにより、可能なかぎり最良のSN比を有するように増幅器を最適化することが可能なことです。スイッチマトリックスMEAはルーティング機能を使うことにより幅広い柔軟性のある設定が可能です。多数のワイヤ、スイッチそして局所的メモリーを使用することにより、選択された電極から読み出しと刺激チャネルへのより複雑な経路設定を柔軟に行うことが可能となります。

受動 vs スイッチマトリックス MEA 構造。 P受動: 電極が信号パッドに直接接続し、アクティブ回路がない固定配線。スイッチマトリックス: アレイ内にルーティングリソースをより追加することで、柔軟性を実現する多重化アレイ。

MaxOneは単一電極あたり2.2メモリーセルを使用するスイッチマトリックス装置で、電極選択の可能性を劇的に高めます。

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