前例の無いCOVID-19(新型コロナウィルス)のパンデミック下、そして家で仕事をすることになった時、休憩をしばしば取ることも大切です。この休憩時間を利用する方法の1つとして、最新のサイエンスの出版物を読んでみるのはいかがでしょうか。どの論文を読めば良いかと悩まれている方のためにも、毎月Monthly Must-Readsではテーマに沿った論文をお届けしています。 Axons と Retina を特集した過去2ヶ月のテーマに続き、今月はOrganoids(オルガノイド)に関連する5本の論文をお届けすることにしました。
オルガノイドに関する最近の5本の論文を以下にご紹介します。今月はTrujiroらによる画期的な論文を特集することにしました。成長下の人間の脳に類似する電気生理学的パターンがオルガノイドで記録されています。
Complex Oscillatory Waves Emerging from Cortical Organoids Model Early Human Brain Network Development.
(皮質オルガノイドから出現する複雑な振動波は、初期の人間の脳ネットワークの発生をモデル化する)
Cleber A. Trujillo、Richard Gao、Priscilla D. Negraes、Jing Gu、Justin Buchanan、Sebastian Preissl、Allen Wang、Wei Wu、Gabriel G. Haddad、Isaac A. Chaim、Alain Domissy、Matthieu Vandenberghe、Anna Devor、Gene W、Yeo、Bradley Voytek、Alysson R. Muotri。Cell Stem Cell。 2019年10月。
著者らは、MEAテクノロジーを用いて、ヒトiPSC由来の皮質オルガノイドにおける振動電波を調べました。著者らは、オルガノイドの電気的活動が数か月にわたって増加し、ヒト皮質オルガノイドが生きている人間の脳の初期段階を模倣していることを発見しました。精巧な機械学習を用い、著者らはヒトオルガノイド電気生理学的パターンと人間の新生児脳波(EEG)パターンの類似点を特定しました。この論文では、人間の幹細胞由来の脳オルガノイドとMEA技術が、初期の神経発生中の脳のネットワークにおける機能的活動の生体外モデルとして使用できることを示しています。カリフォルニア大学サンディエゴ校のMuotri ラボによってコーディネートされたこの研究は、世界的な関心をよび、 New York Times, Nature, The Scientistおよび他の多くのニュース媒体によって報道されました。
論文はこちらから。
特集した論文以外にオルガノイドに関連した4本の論文は以下です:
- Engineering of human brain organoids with a functional vascular-like system.
(血管システムのような機能的なシステムを持つ人間の脳オルガノイドの設計)
Bilal Cakir, Yangfei Xiang, Yoshiaki Tanaka, Mehmet H. Kural, Maxime Parent, Young-Jin Kang, Kayley Chapeton, Benjamin Patterson, Yifan Yuan, Chang-Shun He, Micha Sam B. Raredon, Jake Dengelegi, Kun-Yong Kim, Pingnan Sun, Mei Zhong, Sangho Lee, Prabir Patra, Fahmeed Hyder, Laura E. Niklason, Sang-Hun Lee , Young-Sup Yoon , In-Hyun Park. Nature Methods. 2019年10月.
論文はこちらから。 Yale News はウェブサイト上で論文を掲載しています。 - CNS organoids an innovative tool for neurological disease modeling and drug neurotoxicity screening.
(中枢神経系(CNS)オルガノイドは神経疾患モデリングと神経毒性スクリーニングのための革新的なツールである)
Tanya Chhibber, Sounak Bagchi, Behnaz Lahooti, Angela Verma, Abraham Al-Ahmad, Manash K. Paul, Gurudutt Pendyala , Rahul Dev Jayant. Drug Discovery Today. 2020年2月.
論文はこちらから。 - Mechanisms of hyperexcitability in Alzheimer’s disease hiPSC-derived neurons and cerebral organoids vs isogenic controls.
(アルツハイマー病におけるヒトiPS細胞と大脳オルガノイドvs isogenic control の過剰興奮のメカニズム)
Swagata Ghatak, Nima Dolatabadi, Dorit Trudler, XiaoTong Zhang, Yin Wu, Madhav Mohata, Rajesh Ambasudhan, Maria Talantova , Stuart A. Lipton. eLife. 2019年11月.
論文はこちらから。 - Individual brain organoids reproducibly form cell diversity of the human cerebral cortex.
(個々の脳オルガノイドは人間の大脳皮質の細胞多様性を再現可能に形成する)
Silvia Velasco, Amanda J. Kedaigle, Sean K. Simmons, Allison Nash, Marina Rocha, Giorgia Quadrato, Bruna Paulsen, Lan Nguyen, Xian Adiconis, Aviv Regev, Joshua Z. Levin , Paola Arlotta. Nature. 2019年6月.
論文はこちらから。 Technology Networks 、Science Daily 、 Wissenschaft.de (独)からもより情報を得られます。